ゼノブレイド2 感想

せっかく半年かけて180時間もやったので、ゼノブレイド2の感想を書きます。とても長いです。


凄い作品でした。よくこれだけの規模でこれだけちゃんと作ったと思います。やってよかったと思うしいい作品だったと思います。以下読み返すと文句ばっかり言ってますが、つまらないことは180時間できないので面白かったんですよ。本当に。
まとめると、探索と戦闘は超楽しい、音楽は良い。ストーリーとキャラクター、ムービーの長さはnot for me、ガチャを始めとしてブレイド周りは不自由を楽しむには少しストレス多めだったかな、というところです。


昔友人の家で友人がRPGツクールで作ったゲームをやったんですよ。友人が色々と構想を語っていたのでどんなゲームが出来上がったのかなと思ってやってみたら、主人公が最初の部屋を出たらいきなり船が止まってて、船に乗ると行き先を選ばされます。選択肢は一つだけ。「ラストダンジョン」。なんでも色々やろうと思っていたけど作ってみると形にするのが大変で、こうなってしまったという話でした。
子供の作ったものと比べるなという話ではありますが、大人が作った商業ベースのものだって、予算や時間の都合でなんだか尻切れとんぼなものはごまんとあります。それを、これだけの規模でこれだけ作り込んで、ちゃんと形にしたのは本当に凄い。世界の広さだけでなく、巨神獣やらブレイドやらクエストやら秘境やらネームドやらもうてんこ盛り。いくらでも遊べるし、クオリティが高くて探索自体すごく楽しい。高レベルネームドに追いかけ回されるのも楽しい。諸要素についてはやることがすごく多い割にクエストを除けばかなり最後の方までそんなに面倒くささも感じなかった。これは凄いことですよ。


ストーリーも以前から色々と腐したんですけど、巨神獣の設定とか世界樹とか天の聖杯とか、要素要素は面白いしそこまで破綻もしてないんですよね。モルスの地についてなんでサルベージャーの間で噂になる余地があるんだくらい。生きて到達できないだろ。死に設定はほとんどなく、大体のことに意味があるし、ビジュアル的にも盛り上がる。最後のオチもまあそうなるかなという話ではありつつつまらなくはない。ラストバトルのケージでエヴァ初号機と戦ってるみたいになってたあれは、ビジュアル的にも変だし、あれ相手は近づいてこなきゃこちらは何もできず焼き払われておしまいなのでは?…みたいなこともありましたが、うんまぁ細かいことは色々あるけどつまらなくはないんですよ。
大枠では評価しているという中で、文句を言います。つまらなくはないんですが、話を進めようとするととにかくまだるっこしい。まず前もブーブー言いましたが、ムービーが長い!終盤ちょっとしたアクションを挟みつつ、ムービーが40分続いたときは頭おかしいんじゃないかと思いました。加えてモノリスソフトが良しとするノリが悉くしんどい。こういうの好きなんでしょ?はハマれば物凄くいいけど、外すとほんとにしんどい。モノリスソフトはオタ嫌いにさせたいのか。
ボス戦も戦って敵を追い詰める→なっがいムービーが入ってボコボコにされる→謎のブレイクスルーが入って再度やり直し、という流れになりがち(なぜなら敵を追い詰められない程弱ければ全滅してやり直しなので)で、ゲーム体験としてこれはいかがなものかと。
キャラクターも主人公のレックスがまぁとにかく好感が持てない奴で、感情移入できない好感が持てない奴がフルボイスで長々と喋る訳で、これはもう本当にしんどい。ロールではなく人格を強制してくるな。これが吹き出しベースの会話ならポンポン読んでボタンで飛ばしていけるからいいんですよ。ムービーはどんどん飛ばせないしまるっと飛ばしちゃうと話が全然わからない。辛い。


いや、今時ただのバカ一直線の熱血感はウケが悪いからわざとこうやってんだってことはわかるんです。時々達観したようなことも言わせるし、現実をわかってるんだよ僕は的なこともいう。誰かの発言から色々と察することができるようなところも見せる。でも、結局ストーリーは熱血漢?愚直?モードに依拠して駆動するし、肝心なときは自分のこと以外眼中にない。そういうところは作中でも言及はされるのに、なぜかこれが「まっすぐ」とか表現されて持ち上げられる。大体動機からして女の子と約束したからなのかみんなの笑顔がどうたらなのかその辺もその時々でフラフラしており、愚直感すら本当は怪しい。それなりに肩書きがある周りの大人も俺たちは大人だからちゃんとフォローしてやらないとと言いながら肝心な時に何もしない。なんの勝算もないのにガキを焚きつけるだけ焚きつける。結果として全体のご都合主義感と茶番感がブーストされ、それを長いムービーで延々と見せられる。しんどい。その辺の醜悪さは作ってる側もわかってて、そういうところを本人が突きつけられるところもあるんですが、でもそれを克服するわけでもなく、受け入れて前へ進むと言うわけでもなく、なんか逃げてると女の子が優しくしてくれたりしてなんとなくなんとかなってしまう。俺が何をしたっていうんだ!→いやお前がクズなんだろと。
レックスの行動に説得力がないから、対立陣営がなんとなく丸め込まれていく様に説得力が出ない。お前らそれでいいのかよ。
ハンターハンターのゴンキルシステムって本当に良くできてんなということがわかりました。
あれ?レックスの悪口で随分長くなりましたね。なんの話だっけ。そうそう。メインヒロインすら好きになれないこの世界でニアちゃんは凄いいい子でした。こんないい子に最後まで自分を殺してママをやらせるなレックスって話です。


でもね。こんなボロカス言ってるのに楽しいゲームなんですよ。戦いのシステムなんかもよく考えられてましてね。ガイドが入るのに超不親切でなんなんだよこれはと思う訳ですが、やり方がわかると楽しい。よくこんなの考えたなと思います。FF12よりもよくできてるかもしれません。戦う前にブレイドと装備の構成を練り、始まってからもヘイトを管理しつつコンボを繋げてドッカン火力で撃破というシステムで、適度に忙しく、やればやるほど上手くなり、上手くなれば自分より強い敵とも対等以上に戦えて強力なアイテムももらえるという仕組みで、戦うのがめんどくさくない。コンボをうまく繋げれば倒さなくてもアイテムがもらえる可能性があるというのも挑戦意欲を掻き立てますね。
相棒の天の聖杯はぶっちぎりの強キャラですが、それを除けば単純な火力ではなくコンボや回復ボーナス、回避力なんかで差別化されていて、一部不遇キャラ以外はモブブレイドですらちゃんと使い道があるようになっているのがうまいところで。ブレイドがランダム入手だと戦略も色々あって楽しいは楽しいんですよね。
伝説の剣とか強い防具みたいなのがあるわけでもなく(まあそれでも終盤は火力が高いチップがないと辛いですが)、有用な装備は立ち回りの性能を上げるものが中心というのもよかったと思います。


とはいえ、分かりにくさと不親切さ、ブレイドがガチャ入手という点は不満の残るところ。
うまくコンボを繋いでドッカン火力やアイテム入手と書きましたが、正確には①オートアタック(武器を構えた状態で近づくと自動で攻撃する。動きはかなり緩慢)でゲージを貯める②ゲージが溜まったらボタンに対応した「アーツ」を撃てる。③アーツをたくさん撃つと別のゲージが溜まり、必殺技が撃てるようになる。たくさん貯まれば貯まるほど上位レベルの必殺技を撃てる。④一度必殺技を撃つと画面右上にフローチャートが出る。時間内にフローチャート指定の属性のブレイドでレベル2、レベル3と必殺技を撃っていくと大技になり、敵に属性に応じた能力低下などの効果が付与されるほか、「属性玉」がつく。⑤属性玉をたくさんつけた状態で敵を攻撃すると貯まるまた別のゲージが満タンになってからボタンを押すと「チェインコンボ」が始まり、そこでも色々頑張るとさらに大ダメージ。みたいななるほどわからんを誘発するブレイドコンボと、②のアーツの一部にはリアクションと言われる効果を敵に及ぼすものが時々あり、ブレイク状態にするもの、ダウン状態にするもの、ライジング状態にするもの、スマッシュ攻撃があって、それらを順番に繰り出すとそれはそれでドライバーコンボと呼ばれるコンボが発動、希少アイテムや金がもらえる。ブレイドコンボとドライバーコンボをどちらかの効果時間中に当てるとフュージョンコンボという…みたいなややっこしい仕組みとなっております。こんなのたった一回説明文読んだだけじゃわかる訳ないのに、一回説明が出てさらっとやらされて以降何もフォローがない。というか最初に説明される段階だと4連コンボを繋げられないのでチュートリアルにならない。ペーパーマリオオリガミキングのようにちゃんと分かりやすく練習させてください。
リアクション自体ものすごく大事なのでブレイド編成時にリアクションありきで組まないといけないのに、ブレイドの武器とドライバーの組み合わせによってリアクション効果が変わるし、リアクション自体ないパターンの方が多く、実際にどんなリアクション効果があるかは同調させてみないとわからず、一度同調させると貴重なアイテムを使わないとドライバーを変更できない仕組みなのに入手はガチャでランダムときたもんだ。
もうちょっとその辺りのままならない感じをなんとかしてくれるとよかったなぁ、とは思います。ままならなさを楽しめるゲームもあるけど、これはあまりそうではないので。
1人3種類ずつブレイドをセットして戦闘中はその3種類を使い分けながら戦う訳ですが、自分が操作するキャラ以外はブレイドコンボ最優先で切り替えてあんまりドライバーコンボを気にしてくれないのに、コンボには4種類のリアクションが必要なので、一発目を誰かに任せて自分が2〜4発目を担当する構成になりがちで、どうもその辺もなぁ、というところではあります。
仲間も戦闘中役割分担するのが最適解ですが、ブレイド入手がランダムなので役割にそぐわないブレイドをひいちゃったらそのブレイドは死蔵されがちというのもちょっとしょっぱい。
でもうまくハマると気持ちいいんですよね。うまいことできてる。間違いなく。


あ、そういえば音楽はとてもよかったです。
アヴァリティア商会、グーラ領、疾走スペルヴィア、ネームド挑戦とチェインコンボの音楽、辺りはすごい好き。


ということで、なんか悪口の方が勢いが良いようにみえますが、面白かったので気が向いたらやってみてください。街の探索もフィールドの探索もここまで面白いのはなかなかないですホント。